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保育雑感:振り返ったときに目が合う誰かがいるということ

先日、森の中を一人で散歩した。

なんだかいつものように楽しくない。

ああ、発見を共有できる人がいないからか。

そして、ふと、『センス・オブ・ワンダー』の中の

”生まれつきそなわっている子どもの『センス・オブ・ワンダー』をいつも新鮮にたもちつづけるためには、
わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、
感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります”

という一文を思い出した。

成長するにつれ、
言葉、写真、絵、音楽など、何らかの自己表現の手段を用いて、
その感動を持ち帰って、他者と分かち合うことができるようになる。

しかし、大人の私でさえそうであったように、
自己表現の手段をまだ充分に持たぬ子ども達にとって、
その瞬間に、発見のよろこびを分かち合う人の存在は
果てしなく大きいのではないか。

「ね〜、見て見て〜!」
と振り返った時に、目が合う人がいる。
何と幸せなことか。

と、こんなことを書きながら、
「ママ、見て見て〜」という娘に、
スマホの画面に気を取られ、顔も上げずに生返事をしている自分の姿に思い当たった。

ぎくっ。

自戒の念を込めて。

舘野春香/タテノイト

『センス・オブ・ワンダー』
レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 森本二太郎写真
新潮社

発見の共有